催し物

企画展 風景画展 〜山水画を中心として 平成29年9月27日まで

 風景画は自然景観を対象とした絵画です。西洋画では目の前に広がる光景をそのまま写し取ろうと、形状や色彩を限りなく実景に近く描きます。
 それに対し、東洋画には「山」と「水」を備えた景色を墨を基調として、独自の遠近法と筆法で描く「山水画」という伝統的なジャンルがあります。山水は神聖な仙人や世俗を離れた逸民が暮らす場所とされ、精神的な理想郷として山や川や木、人物を画面に描き、その中に自由に精神を遊ばせるというものです。四季・気象・時間など様々な情景を、時に綿密な筆致で、時に減筆の極致で描きあげます。中でも墨一色で描かれる「水墨画」は、紙と硯と墨と筆と水だけで、豊かな墨色とグラデーションを作りだし、顔料に勝るとも劣らない表現を見せます。
 大自然の中に小さく描かれた人物は、士君子のたしなみとされる、琴・書画などに興じ、茶を飲み、友と歓談しています。漁夫もまた隠士の意味合いをもち、世俗の煩いから解放されたいという人々の願望や思想が込められているのも山水画の奥深さです。
 富士や三保松原、松島などの景勝地も、参詣の助けや、美しい風景画として多く描かれてきました。実景や映像を見慣れた私たちの目には現実との違いに違和感を覚えるかもしれません。しかしどの作品も、長い伝統をもつ絵画技法を駆使した、画派や個々人の心象の風景です。
 本展覧会では、精神的な遊び場として自由に絵の中に入り込み、作品を楽しんでいただきたいと存じます。お時間の許すかぎり、どうぞごゆっくりご観覧下さい。

 

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