企画展

企画展
ついみょう
~ 取り合わせから見えること」
[会期]前期 令和7年5月21日(水)~7月16日(水)
後期 令和7年7月18日(金)~9月10日(水)

この展覧会は「対(つい)」という視点から、美術作品やデザインなどの表現を鑑賞するものです。
「対」という概念は、2つで一組になっているもの、素材や形が揃っているもの、力や能力が同じであるもの、向かい合う対称的なものをいいます。

東洋の書や絵画には、二幅対や三幅対と呼ばれる複数の掛け幅からなる対幅という形式や右隻と左隻で一双となる屛風、また2つ3つで一組となる工芸品など、<対>で成り立つ作品が数多く存在します。

対幅は全体としてだけでなく、単幅や異なる組み合わせでも鑑賞できる性質をもっています。時間や場所の連続性、モチーフの対比の面白さと共に、全体の完結性が鑑賞できるものです。

一方、1つの作品の中にも、素材の<対>となる取り合わせを見いだすことができる作品もあります。作品に込められたメッセージを知る手がかりであり、東洋美術作品鑑賞の糸口にもなります。

今展では、二幅対、三幅対、五幅対の掛け幅や一双屛風・工芸品を中心に、対となる取り合わせからどんな意味が見えるのか、季節やモチーフの対比と関係性・連続性をお楽しみください。

展示作品リスト

対なる形
作品名称 作者名 員数 時代 所蔵・備考
雷公風伯図 菊田伊洲 二幅 19世紀前半 前期   
行書七言対聯 李 鴻章 二幅 1876年(光緒2年) 前期
風神雷神図 平塚華馨 二幅 20世紀前半 後期
行書五言対聯 羅山元磨 二幅 19世紀 後期
三夕倭歌図 佐久間
洞巌
三幅 18世紀前半
五百羅漢図 梅津月橋 五幅 19世紀    
雨雪山水図屛風 東 東洋 六曲
一双
19世紀前半 前期  
蘭亭曲水図屛風 荒川洞月 六曲
一双
19世紀前半 後期  
伊達家旧蔵 
貝合わせ
二組 江戸時代 松島博物館
所蔵
伊達家旧蔵 
蒔絵煙草盆
一基 江戸時代 松島博物館
所蔵
素材の取り合わせ
作品名称 作者名 員数 時代 所蔵・備考
豊干虎図 得明 一幅 1930年(昭和5)
文王呂尚図 蠣崎縉斎 一幅 1835年(天保6) 前期
寒山拾得図 可堂 一幅 1913年(大正2) 前期
恵比寿大黒図 佐竹永海 一幅 1845年(弘化2) 前期
常磐雪行図 月岡雪斎筆 本居大平賛 一幅 19世紀前半 前期
江口君図 春山 一幅 20世紀前半ヵ 前期
林和靖図 月堂 一幅 20世紀ヵ 後期  
豌豆に三毛猫図 小池曲江 一幅 1831年(天保2) 後期
郭子儀図 佐久間
鉄園
一幅 20世紀前半 後期
常磐雪行図 東 東洋 一幅 19世紀前半 後期
閻魔花魁図 藍園 一幅 未詳 後期
版画「松島道中」
(全11枚の内)
遠藤速雄 七枚 19世紀後半

主な出品作品

五百羅漢図 五幅対 梅津月橋筆 19世紀

一幅に羅漢を百人ずつ描いた大作。人物の輪郭線は経文で表す。制作年数は3年で、塩竈の佐浦家より瑞巌寺に寄進された。
月橋は仙台藩士。画を荒川洞月に学んだ。

雷公風伯図 二幅対 菊田伊洲筆
19世紀前半 前期展示

風神雷神を二幅対で描いた。有名な俵屋宗達のそれとは二神の配置が逆で、その姿態も異なる。強い墨線とぼかしを生かした作品。
伊洲は江戸時代後期の仙台藩御用絵師。

行書七言対聯 二幅対 李 鴻章筆
1876年(光緒2=明治9) 前期展示

持石帰来滄海色 落花飛處墨池香
李 鴻章は中国清時代末の安徽省合肥出身の政治家。
箱蓋裏には伊藤博文より瑞巌寺住職に贈られたことが記されている。

雨雪山水図屏風 六曲一双 東 東洋筆 19世紀前半 
前期展示

右隻には夏の景、左隻には冬の景を、沢の流れを軸に描かれる。
東洋は京都で四条派を学び、晩年に仙台藩御用絵師となる。(白鷗楼文庫)

蘭亭曲水図屛風 六曲一双 荒川洞月筆 19世紀前半 
後期展示

中国浙江省の蘭亭で催された詩会の故事に由来する作品。緩やかな時の経過は流水と共に右から左へと流れていく。
洞月は仙台藩御用絵師荒川家三代。(白鷗楼文庫)

文王呂尚図 蠣崎縉斎筆 1835年(天保6)
前期展示

描かれる川岸の釣り人(呂尚)と声をかける貴人(文王)は、有名な出逢いの逸話を絵画化したもの。
縉斎は江戸時代後期の郷土の絵師。菅野縉斎と同一人物。(白鷗楼文庫)

豌豆に三毛猫図 小池曲江筆 1831年(天保2)
後期展示

豌豆、三毛猫、蝶の素材の取り合わせは、寓意や音通によりおめでたい願いが込められている。
曲江は全国を遊歴した江戸時代後期の塩竈出身の絵師。(白鷗楼文庫)

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